刑務所ブログ
平成17年5月12日(木)に逮捕され、京都府向日町署の留置場に半年間もの長きに渡り勾留、取調べと追起訴を繰り返し何度も受けることとなった私。そして同年11月11日(金)、500万円の保釈金を納めてようやく保釈申請が裁判所より許可され、翌年2月8日(水)に下った実刑判決を受けて京都拘置所へ判決収監される流れとなります。日記を書こうと思ったのはこの時が初めてで、実刑判決が出るまでは「俺の人生、そんな最悪な状況になることもないだろう」とか、どこか執行猶予付きの判決を期待する楽観的な気持ちがあったからです。
拘置所に収監されたことで初めて「最悪」を自覚したわけですが、それと同時に芸人や作家のような考え方と言いますか、何処かで「ネタになるおいしい体験」みたいなポジティブな気持ちが芽生えたことが、出所の日まで刑務所日記を書き続けようというモチベーションに繋がります。マイナスの経験(インプット)ですらのちに配信(アウトプット)することで回収してやろうと、努めてネガティブな気持ちを抱かないようにしようとも考えました。そのわりには出所後が忙しく、このサイトを公開するまでかなり時間がかかっちゃいましたけどね。
ただ、塀の中での日記は極めて私的なメモ書きということで、語尾は私が普段からネットで書いているような「です・ます調」ではなく、「だ・である調」に短く簡潔に統一されています。塀の中とはいえ本を読むのに忙しく、またキーボードを使っての文書作成ではないですから、そんないつもみたいにくどくどと長文を書く気にもなれなかったです(笑)。塀の外へ手紙を発信し、協力者を通じて私の書いた文章を掲示板に公表(在監連載)しようと思ったのは収監された年の5月に入ってからですが、その手紙の中身については刑務所コラムのウィークリー前科者通信というページで紹介しています。よろしければご一読ください。
受刑生活の毎日すべてがそれほど刺激的な出来事ばかりではありませんが、出所後に過去を振り返って書いた手記にはない、まさにリアルタイムに気持ちを綴った臨場感溢れる内容に仕上がっています。受刑者としての経験をお持ちの方は過去を存分に懐かしんでもらい、執行猶予が付いて刑務所へ行きそびれた方や今後の人生で一切経験する予定のない方であっても、塀の中という不思議で独特な空間を疑似体験いただけるかと思います。ページの右側スペースに貼られた目次より、時系列に従って順番にお進みください。
記事の作成日:平成21年3月31日 |