刑務所コラム
私が在監中に記していた日記の公開は刑務所ブログで行うとして、ここでは留置場や拘置所、刑務所の中で書いた手紙、出所後に別な掲示板で書いたログの一部から加筆修正したものを公開させていただきたいと思います。
まず私が逮捕された経緯や罪状については半年間の勾留より保釈・逮捕の経緯(初出:ポルシェ万次郎逮捕〜サイト終了の事情説明会)、次に留置場の中で身内に宛てて書いた手紙の紹介は向日町警察署の留置場より私信(初出:ポルシェ万次郎逮捕〜留置男の私信)、さらに塀の中から手紙を発信してリアルタイムにネット連載していた獄中コラムはウィークリー前科者通信(初出:マンスリー前科者通信)、最後に出所してから自分の運営掲示板に直接書いたログについては出所後の新生活と刑務所ボケ・保護司(初出:マンスリー前科者通信)、刑期満了で社会復帰!日記とか色々(初出:マンスリー前科者通信)よりお読みいただけます(ページ右側目次参照)。
ウィークリー前科者通信については宣伝や告知が足りなかったというか、予想以上に掲示板へのレスが少なくてガッカリというか失敗でした。塀の中より発信する手紙には官による検閲が毎回行われるため、私の意図する企画(リアルタイムの獄中連載)がなかなか外部協力者(手紙を受け取って掲示板へ代理投稿してくれる人)に伝えられなかったというのも原因の一つです。2ちゃんねるのVIP掲示板に「今、塀の中にいるんだけど、何か訊きたいことある?」みたいなネタスレッドでも立ててもらえば良かったかもしれません。それはまあともかくとして、ウィークリー前科者通信が最も簡潔で面白く、獄中連載という極めて高い資料的付加価値もあるため、「長くて全部読んでいられない」という人にもこれだけは特にお奨めしておきたいと思います。
国民の15人に1人が生涯に一度は刑務所暮らしを経験するアメリカほどではないにせよ、ごく普通に平凡的な生活を営んでいる人であっても、ちょっとしたことがきっかけで自分や身内が拘置所や刑務所のお世話にならないとも限りません。痴漢の冤罪事件を題材にした映画「それでもボクはやってない」の公開も記憶に新しいところだと思います。
例えば出来心からつい万引きなどしてしまい、それが見つかって警察を呼ばれたとしても普通は微罪処分で起訴までされることはありません。しかし今まで真面目な人生を送って来たが故に初めての万引きが見つかった動揺からその場を逃げ出してしまう可能性もあるわけで、店員ともみ合いになった際に相手を転倒でもさそうものなら司法からそれは暴力であると判断され、「窃盗罪(万引き)」という軽微な罪状であったものが「事後強盗(5年以上の有期懲役)」という甚大な罪状にグレードアップしてしまいます。情状が酌量されて刑期が半減されたとしてもだいたい3年半くらいの実刑判決ですね。また転倒した相手がたまたま怪我でもしようものなら罪状はさらに重くなり、「事後強盗致傷罪(6年以上の有期懲役)」が適用されてだいたい7年くらいの懲役になるケースも珍しくありません。
以上のことからも法の解釈や運の有無、経営者や政治家であるなら時流や世論など、自分のことを犯罪属性のある人間などとは自覚していない人でも拘置所や刑務所のお世話になる確率は十分有り得るわけで、今後の人生において当サイトで紹介の内容と一切無縁だとは言い切れないということです。それくらい身近な問題として捉え、この閉ざされた塀の中の不思議な世界を楽しんでもらえればと思います。
記事の作成日:平成21年4月10日 |